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化学CHM501r 

3年前学期火2

物理化学第一

Physical Chemistry I

山北 佳宏

単位区分

単位数: 2単位
必修
課程・類・プログラム
種別
先端工学基礎課程

関連Webサイト

主題および達成目標

■主題
物理化学は、分子を測定・計算・制御する原理をもとに、先端的な機器を使って分子のさまざまな性質を扱う化学の分野である。分子構造を知るための分光学(spectroscopy)と、化学反応を知るための動力学(dynamics)に分けられ、本講義では分光学を中心に学ぶ。

■達成目標
光や電磁波による様々なスペクトルが、光と分子のどのような相互作用基づくかを理解する。化学や生物学における様々な測定(吸収・発光・顕微鏡)の根本となる原理を理解し、簡単な計算ができることを目標にする。

前もって履修しておくべき科目

化学概論第一(元素の周期性や電子論の基礎)

前もって履修しておくことが望ましい科目

なし

教科書等

■教科書
次の本を購入することを推奨する。
1. マッカーリ・サイモン, 物理化学(上) 分子論的アプローチ, 東京化学同人
他大学でもよく使われている標準的な教科書である。物理化学第二や大学院でも使える。

■参考書
以下も教科書として使える。
1. 林茂雄, エンジニアのための分子分光学入門, コロナ社
2. 中田宗隆, 分子分光学, 東京化学同人
3. 大野公一, 量子化学, 裳華房
4. 野村・川泉共編, 理工系学生のための化学基礎, 学術図書出版(1年生の教科書)
5. 川崎 昌博 他, 分子の物理化学, 朝倉書店
1,2は、分子分光学全般がコンパクトにまとまっている良書である。
3は、分子の電子状態から分光学を解説している。
5は、比較的薄い本ですが、図表が理解しやすい。

授業内容とその進め方

■授業内容
光に対する分子の応答(スペクトル)には、分子の電子・振動・回転・スピンが関係している。これらは量子力学の第一原理(HΨ=EΨ)に由来しているため、数式の導出が本質的に重要である。実際は、まずこれらの関わるスペクトルの問題を解くことをめざす。問題を解くことで、最初は数式の意味が難しくても、時間をおいてだんだん分かってくる。

1. 序論(光とは, 分光学とは)
2. 分子の電子状態・振動・回転のエネルギー
3. 分子を構成する粒子の表現
4. 2原子分子の回転
5. 2原子分子の振動
6. 振動回転スペクトル
7. 多原子分子の回転
8. 多原子分子の振動
9. ラマン分光
10. 選択律と点群
11. 原子と分子の電子状態
12. 電子遷移と反応
13. レーザー
14. 量子化学計算
15. 電子分光と磁気共鳴分光
期末試験
※内容や順番を変更することがある。

■授業の進め方
教科書・資料・問題演習を使って、できるだけ数式をフォローしながら進める。毎回の授業で演習を行う。授業中の課題は、原則として当日の授業終了時までに紙で提出する。それ以降は、授業当日中に東6号館3階エレベーター脇のポストに提出する。

実務経験を活かした授業内容

担当教員は分光学(物理化学)の専門家である。これまでの経験をもとに、学生が最初に疑問に思う要点について説明する。

授業時間外の学習

ノートのとり方などの詳細は授業でも説明する。できるだけその日のうちに復習して疑問点を解決しておくとよい。分からないままにしておくと、授業時間中が無駄になり大変になってくる。式の導出や問題演習で分からない点は、適宜教科書を参照する。期末試験でノートの持ち込みが可能な場合、タブレット等で電子的に記録したノートは含まれない。

成績評価方法および評価基準

■評価方
授業内演習、期末レポートをもとに、以下の配点で総合的に評価する。

成績評価(100%) = 授業内演習(30%)+ 期末試験(70%)

■評価基準
以下の項目を中心に内容を言葉で説明できること。高度な式の導出ができる必要はないが、基本的な式を使った計算や図示はできること。
・光の波長領域ごとの特徴が説明できる。
・光の波長・波数・光子エネルギーの換算ができる。
・2原子分子のエネルギー準位を図示できる。
・2原子分子の回転スペクトルから結合長を算出できる。
・2原子分子の振動のエネルギー準位が図示できる。
・分子の振動の自由度、零点振動エネルギーを説明できる。
・分子の振動数と結合の強さ・質量との関係が説明できる。
・赤外吸収とラマン散乱の原理を説明できる。
・分子の対称性を理解している。
・磁気分光法(NMR, ESR)の原理を説明できる。

オフィスアワー・授業相談

東1号館・1階・113号室、火曜3限。この時間に都合が付かない場合でも、質問等にはできる限り相談に応じますので、お気軽にお訪ねください。TAの大学院生がお答えすることもあります。

学生へのメッセージ

分子分光学は、ニュートンの時代から量子力学の構築に至るまでの長い期間、物質開発や理論の開拓で重要な役割を果たしてきた。分子分光学の知識が役立つ応用分野を列挙すると、光ディスク(DVD, BRD)、LED、有機EL、CCD、レーザー、染料、ガラス、太陽電池、光合成、バイオイメージング、天文学などがある。

その

分子分光学は、量子力学と表裏一体に発展し、材料分析で重要な役割を果たしている。分子分光学の知識が役立つ分野には、有機・無機・光・分析化学、バイオイメージング、情報通信、電子デバイス(LED, 太陽電池, 有機EL, DVD, BRD, CCD, CPU等)、レーザー、光合成、天文学、医療診断(CT, MRI, PET, MS)、センシング(ロボット, 自動運転等)、感光材料などがある。また、今後社会を変革すると予想される、理論計算(シミュレーション, AI, 量子コンピューター)にも、分子分光学で扱う知識が深く関わっている。

キーワード

ESR
IR
NMR
UV-VIS
りん光
マイクロ波分光
ラマン散乱
レーザー
吸収
点群
発光
紫外可視
群論
蛍光
赤外
遷移モーメント
選択律
最終変更日時: 2025/03/14 20:31:30