22016103

人文社会HSS502s 

3年, 4年前学期金7

科学技術と倫理

Science,Technology and Ethics

高橋 幸平

単位区分

単位数: 2単位
必修
課程・類・プログラム
種別
先端工学基礎課程

関連Webサイト

学内WebClass開設

主題および達成目標

科学技術が進展する現代において、地球温暖化に顕著なように、環境問題はますます深刻になっている。技術と自然、人と自然の調和をはかることは、我々にとってさしせまった重い課題である。たとえば、環境をめぐる現代の応用倫理学では、自然との共生や持続可能性などのさまざまな論点が示されている。しかし同時に、課題に直面するなかでいま我々が欲しているのは、自然・人・技術それぞれのあり方や相互の関係について、はじめから問い直してみることではないだろうか。すなわち、自然の一部である人はどのように生きているのか、そして、技術は人が生きていることにどのように関わっているのか、さらに、人としてよく・うるしく生きていることとは何か。このような「人のあり方・生き方」をめぐる問いは、「倫理」をめぐる最も根本的な(はじめの)問いの一つである。
以上のような我々の課題に向かうため、この講義では、技術と自然との関係を主題として、古代ギリシアのアリストテレスの思想に拠って考察を深め、また、課題への手がかりをさぐることを目指す。
アリストテレスは「万学の祖」とも呼ばれるように、今日の自然科学・人文科学を跨いで、ほとんどすべての学問分野についてあまねく研究し、論文のかたちで問題設定と説明(問いとこたえ)を提示した。現代の我々の科学・技術の源(はじめ)に位置する研究者である。アリストテレスに拠ることの意味は、ここにある。自然・人・技術のあり方についても、アリストテレスはさまざまな分野において考察を試みている。この講義では、上記の主題に沿って、倫理学に限らず、広く、自然学、生物学、形而上学、美学などのアリストテレスのテキストを読み解いてゆくことにする。
ただし、その記述内容はいまから2300年ほど前のものであり、現代とは前提が異なるところ、理解しがたいところもあるが、現代の科学・学術や世界観の礎となったことで、我々の常識と共通するところも少なくない。このような両面を含むアリストテレスを読むことは、我々の源を読み解くことでもあり、我々とは異なるものを読み解くことでもあり、それと対比することによって、同時に、いまの我々自身を理解することにもなるだろう。実際に、近代へと至る学術・科学の蓄積は少なからず、「古典」としてのアリストテレスを読み解き、問いを深め、考察することによってなし遂げられてきた。アリストテレスに拠って考える理由は、ここにもあるだろう。

前もって履修しておくべき科目

特に必要としない

前もって履修しておくことが望ましい科目

特に必要としない

教科書等

勢力尚雅編『科学技術の倫理II』(梓出版社,2015,ISBN978-4-87262-036-8)

授業内容とその進め方

(a) 授業の進め方
講義・講読形式。関連するアリストテレスのテキスト(和訳)を配布し、解説を加えながら読み進める。また、講義内容については、教科書を各自で参考にすること。
※各回の内容に対応する教科書の箇所を予習・復習して読んでいることを前提して、授業を進める。

(b) 授業内容
※以下に掲げる計画は内容の変更や連続、順番の前後がありうるので注意すること※

[導入]
第1回
「導入」 講義の概容、成績評価ほかの諸注意
「「テキストを読み、論じる」とは何か」
「アリストテレスのテキストについて」

[技術と自然]
第2回
「技術とは何か(1)」 「technology」・「技術(テクネー)」ということば
第3回
「技術とは何か(2)」 制作する技術―アリストテレスの四原因モデル
第4回
「技術とは何か(3)」 技術の特徴―原因の外在、制作活動の目的
第5回
「自然とは何か(1)」 技術と自然との相似・相異―技術から自然へ
第6回
「自然とは何か(2)」 「人は人を生む」―生成する自然
「中間レポートの課題発表」

[技術は自然を模倣している]
第7回
「自然を模倣する技術(1)」 模倣のさまざまな用例―自然と技術との相似・優劣関係
第8回
「自然を模倣する技術(2)」 うるしさの模倣―組織された全体(システム)をまねぶ技術
第9回
「自然を模倣する技術(3)」 永遠性の模倣―自然の生成変化の継続とその原因
第10回
「神とこの世界」 永遠性とうるしさの「はじめ」としての
第11回
「自然を模倣する技術(4)」 生物の種の永続―自然の定常性、精確性の模倣

[まとめと見通し]
第12回
「人が生きるための技術」 自然に反する技術・自然の補完としての技術
「自然を模倣する技術のすがた」 円環をなす自然の永続性と技術の持続性
第13回
「倫理学(目的論)における技術の位置づけ」
第14回
「思惟・観想―神と人をつなぐ活動」

第15回
「永遠性・うるしさを「はじめ」とするアリストテレスの世界観」 講義のまとめ
「提出課題(中間レポート・各回アンケート課題)へのフィードバック・講評」
「期末課題の説明」 レポートの書き方ほかの諸注意

授業時間外の学習

講義の各回に対応する教科書の記述内容に目を通した上で講義にのぞむこと(予習)。
アリストテレスのテキストにあたって、講義内容を確認すること(復習)。
※各回の内容に対応する教科書の箇所を予習・復習して読んでいることを前提して、授業を進める。

成績評価方法および評価基準

(a)評価方法:各回のアンケート課題と中間レポートと期末レポートによる評価

(b)評価基準:
{1}論述(テキストを読んで論じる)形式の期末レポートによる評価(評点の100%)。アリストテレスのテキストを内在的に読み解き、理解した上で、その内容について各自が問い、考察したところを論述していること(評価基準)。※詳細は第1回および第15回で示す。
{2}前半(第6回まで)の講義内容を要約し説明する中間レポートを課す。中間レポートは提出の有無のみを確認し、評点はしない(期末の評価に若干の加味はする)。中間レポートを提出しない者は、期末レポートを含めて履修放棄(「不可(D)」)とする。
{3}遠隔授業における出席と学習進捗を管理するため、WebClassのアンケート機能を用いて、各回ごとに簡易な課題を課す。提出の有無(により出席)のみを確認し、評点はしない(期末の評価に若干の加味はする)。各回のアンケート課題を提出しなければ、中間・期末レポートを提出することはできない(「不可(D)」とする)。
{4}各課題は、Web上の情報、AIによる自動学習や自動回答に依拠・参照することはできない(「不可(D)」とする)ので、注意すること。
{5}以上の課題はWebClassに提出する。各課題には提出期限を設ける。期限を厳守すること。

オフィスアワー・授業相談

非常勤講師のため、特定のオフィスアワーは設定できない。
質問などがあれば、WebClassの「掲示板」(公開)、「メッセージ」(非公開)、または、上記高橋のメールアドレスへ問い合わせること。
連絡する際は、氏名・学籍番号・科目名「科学技術と倫理」を明記すること。

学生へのメッセージ

{1}履修希望者は第1回に必ず出席し、講義の説明を聞いて内容を確認すること。
{2}期末課題の説明には必ず出席し、課題について確認すること。

その

長崎県壱岐市より遠隔授業を行う

キーワード

システム
倫理
円環
技術
持続可能性
有機体
模倣
永遠
環境
生命
組織
自然
最終変更日時: 2025/04/11 5:33:19